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2021.2.15
子どものいない夫婦の相続はどうなる?

子どものいない場合、配偶者はすべての財産を相続できる?

仮にあなたの配偶者が亡くなり、子どもがいなかった場合を想像してみてください。相手が持っていた財産は、全てあなたのモノになると思いますか?子どもがいない場合、配偶者はすべての財産を相続できると思われがちですが、そう簡単にはいきません。もし子どもがいなかった場合でも、配偶者の両親や兄弟姉妹がご存命の場合は、彼らも相続人となりえます。

こういった相続に関するお悩みは、近年増えているように思います。もし、あなたにお子さんがいないのであれば、あらゆる事態を想定してパートナーがご健在のうちに話し合い、対策を立てておくことが大切です。

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配偶者以外の法定相続人は誰?

パートナーが他界した場合、配偶者(妻/夫)は常に相続人となります(※婚姻関係のない内縁の妻/愛人には相続権なし)。配偶者以外の法定相続人には順位があり、上の順位の人がいる場合には、下の順位の人は法定相続人になれません。

【相続順位1位】:直系卑属(実子/養子/孫etc…)▶子どもが死亡している場合→孫へ
※内縁関係にある相手の子ども/事実婚の相手の子どもでも認知していれば相続人になれます
【相続順位2位】:直系尊属(父/母/祖父母)▶父母が死亡している場合→祖父母へ
【相続順位3位】:傍系血族(兄/弟/姉/妹etc…)▶兄弟姉妹が死亡している場合→甥や姪へ

遺言がある場合は遺言が優先となりますが、基本的には上記の順位により、相続権と相続の割合が決定します。

法定相続分はどのくらいになる?

■配偶者のみ(法定相続人にあたる人が他に誰もいない場合):全て
■配偶者+子ども:配偶者が1/2、子どもが1/2
※子どもが複数名いる場合は子ども分の1/2を、更に子どもの数で案分します。
■配偶者+親:配偶者が2/3、親が1/3
※両親共にご健在の場合は、その1/3をさらに2人で案分します。
■ 配偶者+兄弟姉妹:配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4
※兄弟姉妹が複数いれば、1/4の財産を人数で案分します。

このように、法定相続人の優先順位とその相続分を見ると、たとえ子どもがいなくても両親や兄弟姉妹がいれば相続人になりますし、法律で決められた法定相続人が他界していたとしても、代襲相続※1となるため、孫やひ孫、甥や姪が相続人となりえます。

 ※1 代襲相続 法定相続人が他界している場合、それらの相続人の孫やひ孫、甥や姪が相続を受け継ぐこと

上記でもめることが無いよう、あなたに相続させたい人がいたり、相続財産を指定して誰に相続させるか決めている場合は、遺言を残すことをオススメします。他にも法定相続人ではない人に財産を相続させたい場合(遺贈)も、遺言書を残しましょう。

【FAQ】結果的に配偶者が全ての財産を相続するためにはどうすればいいの?

上記に述べた法定相続人が【全員いない】場合に限り、配偶者が全ての財産を相続できることとなります。

または、配偶者に全財産を相続させるという趣旨の遺言を残すことによって、解決するケースも多くあります。ただ、遺言がない場合全てを相続できるケースはとても少ないと言えます。

【FAQ】もし配偶者が「財産のすべてを愛人に相続させる」と遺言を残していたらどうしたらいい?

たとえ遺言にそのようなことが記されていても、相続人が最低限の財産を受け取れる【遺留分(いりゅうぶん)】があります。今までの財産全てを愛人に相続されては、家族が生活に困る可能性もあるので、このような処置がとられます。ただ、遺留分が認められているのは、配偶者や子ども(又は孫)(※場合によっては直系尊属)だけで、兄弟姉妹や甥や姪は遺留分権利者にあたりません。

今回の質問の対象が「愛人」でなく「配偶者」だった場合、配偶者に全ての財産を相続させる旨を書いておけば、兄弟姉妹や甥姪が遺留分権利者となることはないので、遺言通りに相続できる事となります。

【FAQ】パートナーが離婚経験者で、前の配偶者との間に子供がいる場合はどうなる?

パートナーが何度離婚していようとも、元配偶者との間にできた子どもにも相続権があります。相続分は前述にもある通り、財産の1/2を子どもの人数で分割します。ちなみに元配偶者には、相続権利はありません。あくまで、元配偶者との間にできた子どものみが権利者となります。

もしあなたが離婚した場合、元配偶者の相続人になることはできませんが、逆に言えば婚姻期間は関係なく、結婚してすぐパートナーが他界しても、遺産相続権利は発生することになります。

【最後に】もしあなたに子どもがいないなら…

子どもがいないからと言って全ての財産を相続できるわけではありませんし、配偶者だからと言って勝手に財産を振り分けるわけにいきません。あなたの他にも法定相続人がいる場合には、相続人同士で遺産分割協議を行う必要がありますし、遺産の中に土地や建物が含まれる場合は相続がより複雑になります。配偶者以外の相続人の相続分を捻出するために、土地や家を手放さなければいけないケースも出てきています。

様々なケースを参考に、もめるポイントを事前に想定し正しい形式にしたがって遺言書を作成すると、残された家族の負担が軽減されます。また、我々のような相続税に詳しい税理士に相談していただければ防げるもめごとも多くあります。

当人同士だとなかなか気の進まないお話も、第三者のプロを介することによって解決することも多くありますので、お気軽にご相談くださいね!