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2021.11.26
給与明細の正しい見方

「給与(給料)明細」を毎回確認していますか?

会社にお勤めの皆さんは、会社から発行される「給与(給料)明細」を毎回確認していますか?実際に振り込まれる「手取り金額」だけを確認し、その他記載されている項目については気に留めていないという方がほとんどかもしれません。

実際に給与(給料)明細を見てみると、給与のほかにも会社からの手当てや、ご自身が支払っている税金、保険料などを詳細に確認することができます。手取り金額だけではなく、基本給与から何にいくら払っているかを把握しておくことで、お金や税金への理解も深まりますし、万が一給与明細に記載されている金額に不備があった場合も、ご自身の損にならないように動くことができます。今回は給与明細の見方について書いていきますので、ご自身が受け取った明細が手元にあるようでしたら、是非それらを見ながら読み進めていってください。

給与にまつわる大切な2つの日付

給与には「締め日」と「支給日」という2つの重要な日付があります。

「締め日」
給与計算期間を指しています。勤怠の期間がこれにあたり、例えば毎月1日~末日が勤怠期間となる会社は「末締め」。14日~翌月15日の場合は15日締めなど、各社によって該当月の締め日が違います。皆様の会社はいかがでしょうか?

「支給日」
給与の支給日は皆さんご存じかもしれませんが、毎月一定の日を支給日とし、実際に給与が振り込まれる日となります。「末締め、翌月15日払い」「末締め、翌々月末払い」など、締め日と支給日は異なることも多いので確認してみましょう。

給与明細を構成する3つの項目

給与明細には全国統一のテンプレートは存在しません。各社使っている給与計算ツールも違いますので、オリジナルの形式で発行されます。中には紙ではなくWEB明細として発行されている会社もあるかもしれません。

そのため、項目分けや順番、仕分けの仕方はそれぞれ違った形になるかと思いますが、どの給与明細も記載内容は、大きく分けて上記の3つの項目に分類されて書かれています。

支給

「勤務先から支払われる金額」基本給や残業手当、役職手当など

控除

「給与から天引きで支払われる金額」社会保険、健康保険、所得税など

勤務(勤怠)

「実際にご自身が勤務した日数」出勤日数、欠勤日数、残業時間など

このように給与明細を見れば、該当月の勤務日数や欠勤日数、残業時間を確認できるとともに、基本給や会社経由で納めている保険料・税金の金額等を一気に把握することができます。

上記3つの構成からなる給与明細に対して、「差引合計」いわゆる「手取額」が最終的に記載されます。「差引支給合計=支給合計− 控除合計」となり、この金額が「手取額」として口座に振り込まれています。

特に確認したい給与明細の主な「支給項目」

基本給与

基本給与とは、通勤手当や残業手当、特別報酬などを含まない給与のベースで、一般的には年齢や経験、能力等によって各社で算出されます。(中には前年の営業実績で変動する会社もあります)ボーナスや退職金の計算の際にもこの額が基準となります。

通勤手当

会社に通うためにかかる交通費に対する手当です。額は各社規定がありますので、就業規則で確認しましょう。原則として15万円までは非課税、15万円を超える部分は所得税の課税対象となります。

その他

その他の項目についても簡単に触れたいと思います。なお、各手当は項目によって会社それぞれの制度や規定(額)が違うものもあるので、全ての会社に当てはまるものではありません。ご自身の会社ではどんな手当があるのか確認しておきましょう。

■役職手当:役職に応じて支給される手当
■残業手当:雇用契約で定められた勤務時間以外の時間外労働(残業時間)に対する手当
■深夜勤務手当:労働基準法に基づいて、午後10時から午前5時までの労働に対し25%以上の割増賃金を支払う手当
■法定休日手当:労働基準法で定められた法定休日(毎週少なくとも1回の休日)に出勤した場合の特別手当
■住宅手当:従業員の家賃(又はローン)を一部負担する手当

その他資格取得手当や、家族手当など多様な手当が会社によって導入されています。

特に確認したい給与明細の主な「控除項目」

社会保険といわれる「健康保険」「厚生年金」「介護保険」と、「住民税」「所得税」については必ず確認しておきましょう。

健康保険

日頃から保険料を支払い、病気やケガなど必要なときに保険給付が受けられるしくみです。病院で保険証を出す機会も多く、比較的なじみ深い保険かと思います。

厚生年金保険

老齢年金・障害年金・遺族年金があり、本人とその家族の生活の安定を保障する制度です。サラリーマンの皆さんは、国民年金と厚生年金に加入しており、この2つが「厚生年金」として給与天引きされます。保険料は会社と折半で負担していますので、給与明細に印字されている額は、全体料金の半額つまり皆さんが負担する額となります。

介護保険

40〜64歳の全日本国民に支払い義務がある保険となります。

住民税

前年の1月1日~12月31日までの所得に対して課税され、住んでいる都道府県や市区町村ごとで金額が異なります。会社員の場合、毎月の給与から企業が本人に代わって住民税を差し引き納めているため、その額が給与明細に記載されています。

所得税

その年の所得(給与)に応じて課税されます。会社員の場合は毎月の給料から「源泉徴収」という形で納税しています。ただ、その年の所得は12月にならないと確定しないため、毎月仮計算された納税額は、年末に行われる年末調整で過不足分を調整します。

社会保険料の支払い、扶養する家族が増えた場合などは、年末調整を行うことで税金が還付されますので、しっかりと手続きをしましょう。

特に確認したい給与明細の主な「勤怠項目」

給与明細を受け取ったら、下記の4点を見て実際の月の稼働と相違がないか確認することが大切です。

出勤日数:該当月の出勤した日数
欠勤日数:該当月の欠勤した日数
平日普通残業:雇用契約における労働時間を超える時間外労働
平日深夜残業:22時〜翌5時までの労働時間

また、該当月の締め日までの有給休暇の残日数もここで確認できます。ただ、記載されている残日数はあくまで締め日までに取得した日数を差し引いたものになるので、多少のズレが発生することもありますのでご注意ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回のコラムを読んで、もし会社から給与明細を受け取っていない。という方がいらっしゃったら、勤務先の経理部や上長に確認してみてください。給与明細の交付は、所得税法で義務付けられています。また給与明細は最低2~3年間は保管しておくことをお勧めします。「失業給付金」申請時や、ご自身で確定申告を行う場合の税金計算の時にも必要となります。

最近では、ふるさと納税や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「NISA・つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を活用する方も多くなってきました。ご自身で稼いだ給与がどのような計算でどう使われているか知ることで、こういった対策にも興味がわいてきませんか?

今後は毎月発行される給与明細を正しくチェックして、ご自身の稼いでいる額、納税している額についても意識を向けてみて下さい。

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