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いつ「その時」が訪れるかはわかりません。

人間誰しもいつか死を迎えます。事故や災害、病気による突然の死もあるでしょうし、余命宣告を受け入院しているという方もいらっしゃるかもしれません。人を看取るとき、悲しみに暮れる一方で慌ただしく進めなければならないのが「相続」です。

突然の死の場合は防ぎようがありませんが、親御様が病床にある段階であれば、状況によって一緒に相続の準備ができる場合もあります。また、ご両親がまだまだ元気でご健在という方も、いつ「その時」が訪れるかはわかりません。

時間的にも体力的にも余裕があるうちに、皆さまに対策いただけるよう、今回は親御様が亡くなる前にやっておきたい、相続準備について書いていきたいと思います。

①遺産を把握し財産目録を作成しましょう

まずはどのような財産を持っているのか、親御様に確認する必要があります。どんな財産がどれくらいあるのか調べ、評価/計算して財産目録(※財産目録…被相続人(親御様)の相続財産の一覧)を作成しましょう。

被相続人(親御様)の死後に、不明な財産が発見されるとトラブルになるケースもありますので、相続直後に困らないよう事前に確認が必要です。財産について聞きにくければ税理士や司法書士など第三者に依頼して作成してもうのも良いでしょう。

②遺言書の作成を検討しましょう

遺言書には、公証人に作成を依頼し公正役場に原本保管された「公正証書遺言」と、本人が書いた「自筆証書遺言」の2種類があります。死後残される遺産を、家族や家族以外のお世話になった人に残したい、特定の財産を孫の代まで引き継いでほしいなど、親御様に財産についての希望がある場合は遺言書作成をお勧めします。

遺言書がない場合は、法定相続人全員による遺産分割協議で全員の合意がないと遺産分割ができません。特に分割が難しい不動産が財産に多い場合は、遺言書を用いて親御様の希望を書いていただいた方が、トラブルを回避できます。

公正証書遺言は、死後最寄りの公証役場で再発行が可能ですが、自筆証書遺言の場合、自宅や貸金庫、信託銀行に預けるなど方法は様々ですので、保管場所は生前に確認しておきましょう。

自筆証書遺言の場合、子どもや親族が代筆したものは無効となります。また、相続開始とともに家庭裁判所の検認が必要となりますので、手続きについても確認しておきましょう。

③節税対策も含め生前贈与を検討しましょう

もちろん死期を予測することはできませんが、預貯金や金融資産が多い方の場合は亡くなる3年前までに「生前贈与」を済ませておきましょう。生前贈与には「3年前ルール」があるため、3年以内に贈与をした人が死去した場合、贈与は無効とされ相続税の課税対象となります。つまり死期が近いからと急いで贈与をしても無効となる可能性が高いということです。

ただ、このルールの適用対象は相続人である配偶者と子どもなので、原則孫への贈与は対象外となります。死去する直前でも孫への贈与は認められますので、非課税枠内の金額で孫に贈与をすれば、相続財産から贈与分を指し引けるため節税になります。生前贈与に関して不明なことが多い場合は、税理士に相談してみるのも良いと思います。

④戸籍を収集し始めましょう

相続手続きでは、親御様の出生、婚姻、認知、死亡の記録を全て記した「戸籍謄本」が必要となります。戸籍の収集に時間と手間がかかりますので、今から検討が必要です。

戸籍謄本によって、記載されてる全員の身分事項を証明できるので、正式な法定相続人や、家族の知らない隠し子がいないか等を確認することが出来ます。また、親御様の死後に相続手続きが始まると、相続人全員の戸籍謄本も必要なので収集にはかなり手間がかかります。面倒であれば、司法書士に依頼することもできます。

⑤不動産の名義を確認しておきましょう

相続財産の中に土地や不動産が多く含まれる方は、それらの名義が現在誰になっているのか確認作業を忘れずに行いましょう。最寄りの法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得するすれば、土地建物の不動産名義を確認できます。(不動産所有者の住所・氏名が記載されている登記簿は一般公開されているので、取得に際して必要な書類はありません)

親御様の死後、親名義だと思っていた不動産がすでに亡くなった祖父母の名義だったというケースもあります。このような場合、祖父母の古い戸籍を集め、祖父母の兄弟姉妹など全相続人の承諾を得てからでないと名義変更ができません。

また、不動産が兄弟との共同名義になっている場合は、親の所有分しか相続できないので、売却や建て替えは自由に行えず、トラブルになりやすくなります。このような状況を防ぐために、親御様が存命中に話し合って単独名義に変えておくなど対策をしておくことをお勧めします。

まとめ

ご健在の親御様に財産の有無を確認するのは気が引ける、という方も多いかもしれませんが、家族が相続直後に困らないよう準備することはとても大切です。親御様のご希望も含めて、もしもの場合はどういった意向があるか話し合いを始めてみると良いかもしれません。

なかなか話ずらい、聞きずらいという方は、税理士や弁護士などプロの力を借りることも検討しましょう。専門家をうまく活用して、余裕のある時から準備を進めておきましょう。