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2023.7.26
医療費控除とは?

ケガや病気をした際に、「思った以上に医療費がかさんでしまった」「実費の負担金額が大きかった」など医療費は時として、家計の負担になることがありますよね。そんな場合に知っておいていただきたいのが「医療費控除」です。

医療費の控除とは、年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に所定の手続きをすることで、所得控除が受けられる制度です。妊娠や出産に関する費用もこの控除の対象になります。今回のコラムでは、「具体的にどういった費用が対象になるのか」も含め、申請の方法も詳しくご紹介していきますので、すでに医療費が多くかかっている方はもちろん、今後かかる可能性がある方も是非参考にしてみてください。

医療費控除の金額

医療費控除とは1年間の医療費が10万円(原則として、詳細は以下の図を参照)を超えた場合に、確定申告によって所得控除が受けられる制度です。自分だけでなく、生計をともにしている家族や配偶者などがいる場合には、その合計額で計算ができるというのがポイントです。

自分や家族が出産したり、入院した年には10万円を超える可能性が高いので、対象になるか確認するようにしましょう。

※医療費控除と似た制度で「セルフメディケーション税制」があります。こちらは、一定額の対象医薬品を購入した場合に控除を受けることができる制度ですが、この控除を受ける場合には、通常の医療費控除を受けることができませんので、注意が必要です。

医療費控除としての要件は以下の通りです。

参照:医療費を支払ったとき(医療費控除)_国税庁URL

計算方法

控除の金額は次の計算式で計算をし、最大200万円まで所得控除が可能です。

医療費控除額=「実際に支払った医療費の合計額」-「①」-「②」
①保険金などで補填された金額 
 例)出産育児一時金、高額療養費、生命保険の医療保険における入院給付金や手術給付金など
②10万円(所得合計金額が200万円までの方は、所得合計金額×5%)

【計算例】

・所得合計金額 300万円

・支払った医療費合計額 30万円

・医療保険で受け取った給付金 15万円

 30万円-15万円-10万円=5万円 

医療費控除額は5万円となります。

控除対象になる医療費・ならない医療費

しかし全ての医療費が対象になるわけではありません。おおよその分類としては、一般的なケガや病気に対する治療、分娩などを目的とした医療費が対象となり、自分都合の美容整形代やサプリメント代などが対象外になります。

次の表に代表的なものをまとめましたので、参考にしてみてください。

医療費控除の手続き

申請に必要な書類

医療費控除の申請に必要な書類は下記の通りです。

・医療費控除の明細書
・確定申告書
・医療費通知
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)

医療費控除の明細書と確定申告書は国税庁のHPよりダウンロードもしくは、税務署での受け取り・取り寄せも可能です。

明細書は、医療費に関するレシートや領収書を手元に用意し必要項目を記載します。医療費の領収書が多い場合は、毎年国税局から発行される「医療費集計フォーム」を使用すると簡単に入力ができます。「医療費集計フォーム」は、Excelで医療費の入力・集計をすることができ、入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込み、反映することができます。

※セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は、「医療費集計フォーム」利用できないので注意が必要です。

確定申告時に領収書を添付する必要はありませんが、確定申告から5年は保管が義務付けられているので、紛失しないように注意しましょう。また、健康保険組合より送付される医療費通知書は、明細書の記載を簡略できる場合もあるので、送付がない場合は健康保険組合に確認をとるなど早めに準備するのがおすすめです。

参照:国税庁 確定申告書等作成コーナーよくある質問

申請の手順

1.医療費控除を受けられるか確認

医療費控除の対象となる世帯全員分の領収書や医療費通知を集めて、1年間にかかった医療費を計算します。そこから保険金などで補填された金額を差し引いて、医療費控除が利用できる金額か確認しましょう。

2.控除額と還付額を計算する

医療費控除額の計算式は先にお伝えした通りです。還付額の計算は下記になります。

所得合計金額300万円、医療費控除額5万円の場合

5万円×10%(※)=5,000円 医療保険控除による還付額は5,000円

(※)所得合計金額300万円の場合の所得税率は10%

所得金額によって税率は変わりますので、詳しくは下記をご参考ください。

参照:国税庁 No.2260 所得税の税率

3.確定申告書と医療費控除の明細書作成

2月16日から3月15日までの確定申告期間に向けて、「確定申告書」と「医療費控除の明細書」を作成しましょう。必要書類は先述したように国税庁のHPからダウンロードか税務署にて取り寄せられます。もちろんe-tax内で作成も可能です。

4.確定申告書と医療費控除の明細書の提出

作成した書類を上記の申請期間に所轄の税務署へ提出します。提出方法は、「税務署への持参」「税務署への郵送」「インターネット(e-tax)」の3通りです。

5.還付金の受け取り

確定申告後、問題なければおおよそ1か月~1か月半ほどで確定申告書に記載した銀行口座に還付金が振り込まれます。ゆうちょ銀行または郵便局の窓口にて受け取ることも可能です。

まとめ

医療費控除は確定申告の手続きが必要になるため、難しく感じる方も多いと思いますが、基本的には確定申告所と医療費控除の明細書を作成し、税務署へ提出するだけなので思ったよりも簡単です。また、毎年e-taxで確定申告をしている方は、追加情報を入れるだけで申請可能です。

また、医療費控除は過去5年間確定申告をしていない方なら、上記の手続きで遡って申請することができるので、一度対象になる医療費があるかどうか確認してみてもいいかもしれません。

ただし、医療費控除を受けるには日頃からきちんと領収書を保管しておく必要があります。同居しているご家族がいらっしゃる場合には、支払った医療費をしっかり把握しておいてくださいね。